研究会

2025.02.14

Hot City, Cool Practice

「東南アジアの都市居住」研究会 本田靖:気候変動の健康影響 ー 日レベルの暑熱影響

「東南アジアの都市居住」第13回定例研究会

[演題] 気候変動の健康影響 ー 日レベルの暑熱影響
[講師] 本田 靖(筑波大学名誉教授 / 国立環境研究所気候変動適応センター客員研究員)
https://kyoto.cseas.kyoto-u.ac.jp/event/20250207/

[⽇程] 2025年2月7日(金) 10:00ー12:00
[開催方式] オンラインZoomのみ
[⾔語] ⽇本語

[要旨] 
気候変動の健康影響は,世界的に見ると,低栄養,マラリア,下痢性疾患などが主要なもので,特に途上国の若年者が大きな影響を受ける.一方,日本を含む先進国では,基本的に日レベルの暑熱影響がもっとも大きな問題である.本報告では,我が国の研究を中心に,現在までに明らかになってきた気候変動の健康影響のうち,主に暑熱影響とその将来予測について述べる.
 日々変動する気温と総死亡との関連を観察すると,V字型を示す,すなわち,ある気温でリスクが最小になり,その両側でリスクが高くなるということが明らかになった.その暑熱側の死亡を熱関連超過死亡と呼ぶ.熱関連超過死亡のリスクは,熱中症死亡のリスクよりもはるかに大きく,死因別に見ると循環器疾患,呼吸器疾患などが多くを占める.気温以外の気象要因も関連はあるが,湿度など他の気象要因の影響は相対的に小さい.ただし,地域によって各要因の影響の大きさが異なることが明らかになった.なお,熱帯夜には,更に死亡リスクが上昇する.死亡に至らない例としては,消防庁が夏期の日別熱中症救急搬送データを公表しているので,関連を見ることができる.死亡と異なり,湿度の影響も大きい.熱関連超過死亡,熱中症ともに,北海道など北の地域では低い気温から影響が現れるし,夏期の前半は後半よりも影響が大きい.将来,気候変動が進行すると,熱関連超過死亡は増加し,寒冷関連超過死亡は減少すると予測されている.

[講師略歴] 
本田 靖(ほんだ やすし)
東京大学にて保健衛生学士,医学士を取得後,2年間研修医として勤務.東京大学医学部,国立公衆衛生院にて成人保健学・保健統計学,University of Alabama at Birminghamにて産業疫学の研究を行う.1992年より国立環境研究所に異動して気候変動の健康影響研究を開始,1998年に筑波大学に異動,世界保健機関の報告書作成などに携わる.世界的な環境要因・気候変動と健康との関連を探る共同研究チーム,MCC collaborative research networkには2013年の開始当初から関わり,現在はScientific Committee memberを務めている.2020年からは国立環境研究所気候変動適応センターにて客員研究員として研究を継続している.

[Zoom情報]
https://kyoto-u-edu.zoom.us/j/91442309388?pwd=JR73oc5qGbn1bvHJHfoVORApDV0BEf.1
ミーティング ID: 914 4230 9388
パスコード: 838324

[主催] 岡本正明、小林知(CSEAS)、岸健太(秋田公立美術大学)、粟飯原大、内山三晴(ダイキン工業)

[問い合わせ] chika128[at]cseas.kyoto-u.ac.jp(担当:山田千佳)


※どなたでも歓迎ですのでお気軽にご参加ください。